イクメンになるのに,強い意志はいるのか?

イクメンになるなら、強い意志を持って」

という記事を読んだ.書いてあることはよく分かる.育児を分担すると時間が無くなる.それはほんとうだ.ただし,あえて「心配していない」と言いたい.

治部れんげ氏 講演会 共に歩む未来のために 〜男性研究者・学生のための共同参画〜

それは、「フェアにやろうとするほど、周囲の男性陣との摩擦も起きるし、自分もキャリアや学問への投資の時間を、家事育児のために削る必要が出てくる」よ。ということです。しかも冒頭に書いたように、その摩擦は、「仕事を続けようとしている母親より、いろいろ大変」ということなのです。ズドーン… - kobeniの日記

なぜなら時が経てば全部そうなるから

私の周囲を観察すると,世代によりパターンがくっきり分かれている.ちなみに私は 40 代前半の一児の父,大赤字で希望退職募集とかしている電機メーカ勤め.

私より下,すなわち 30 代以下の,バブル崩壊後に社会人になった世代の典型像は,夫婦共働き,妻の方が給与が高い,家は賃貸か買ってもマンション,車なし,みたいな感じ.一方,私より上の,いわゆるバブル世代の典型は,妻は専業主婦,一戸建て購入,車あり,みたいな感じ.

要するに,給料が低く,いつクビになったり会社が倒産するかわからないのが普通な状況では,あぶなくて専業主婦モデルは採用できない.子供にまともな教育を受けさせるのに必要な収入を確保したり,夫が失業しても路頭に迷わないためには,妻フルタイム共働きが経済合理的というか論理的必然.オトコ全員「キャリアや学問への投資の時間を、家事育児のために削る」ので,「周囲の男性陣との摩擦」はありません.

失礼ながら,指摘されている方が所属しているのは,専業主婦モデルを選択しようという気になる人が多数派である程度に,余裕がある業界/大学/会社なのだなという印象です (いや,余裕があるのはいいことです,皮肉ではなく).

過渡期には摩擦もあるかも

今は過渡期なので,二つの意味で摩擦はあるかもしれない.

  1. 私と同一年代は「バブル崩壊直後世代」なので,デフォルトが「専業主婦モデル」の人と「共働きモデル」の人が混在している.このような時は,「家事を妻に任せて,仕事一筋の人」が勝つ確率が高い.
  2. 上司の世代は「専業主婦モデル」なので,「共働きモデル」を快く思っていない可能性がある.

上記はあくまで可能性.これまで文句言ってくる上司はいなかった.幸いにも理解のある上司ばかりだったのか,経済的に必然なので文句が言えないのか,おそらくは両方.

「独身」or「DINKS」との比較では間違いなく不利です.これは過渡期関係ない.「子育て中のみなさんがんばってください」だし,「ご迷惑をお掛けした方はごめんなさい,お互いさまだと思って許してください」です.

まとめ

というわけで「心配していない」のだけれど,理由は「景気が悪すぎる」からなので,あまり喜べない…